この映画は、前半と後半で流れが変わる映画です。
前半は、半地下と呼ばれる家に住んでいるキム一家が、金持ちのパク一家に徐々に寄生していく様が描かれ、後半は、パク家に潜んでいた秘密が暴かれ急展開するという感じでした。
この映画で描かれているテーマは各社社会で、貧富の差はどうやっても埋まらないという現実が容赦無く突きつけられてきます。
この映画の重要なポイントは「匂い」です。ライティング効果などで貧富の空気感を表現しているのもありますが、最も重要なキーポイントは匂いに気付くという部分。
そして、この匂いの描写、いくつかの描写に違和感があったりするんですよね。
パク一家は、貧乏に過剰に反応する一家です。その気づきは匂いです。キム一家は普段から半地下に住んでいるため気付かない事ですが、半地下に住んでいないパク一家からすると、キム一家の匂いはとても気になる匂いのようです。
家庭教師・美術の先生・専属運転手・家政婦。一人ずつパク家の使用人と入れ替わっていくキム一家の人間が、全員同じ匂いをしている事に最初に気が付くのはパク家長男のダソンなのですが、父親のドンイクもキム家の匂いに何となく気が付いて居ます。
ただ、キム家の人間は信用に値すると信じ切っているため、頭から疑う事はしていません。
そこから大きく話が動くのは、パク一家が息子の誕生日にキャンプに出かけた夜です。
既にパク一家に完全寄生を済ませていたキム一家は、家主の居ない間に職場である豪邸でやりたい放題。勝手に人のベッドで寝るわ、風呂には入るわ、飲むわ、食うわ、汚すわでまるで我が家状態。
そこに以前この家で家政婦をしていたムングァンが戻ってきて、屋敷の秘密とすったもんだがあるのですが、ムングァンをどうにかし、ほっとしたところでまさかの電話!パク一家が帰ってくる!?しかもすぐそこまで来ていて片付けている暇がない!!(←ここがスゴイポイント)
慌ててゴミを机の下に押し込み、家政婦をしている母親のヨンギョ以外は隠れて脱出のタイミングを伺う訳です。
さて。先ほどこの映画のポイントは匂いという話をしました。
半地下の人間の匂いに気が付くほど、パク家の人間…少なくとも父親と息子は鼻が利くわけです。
ところが…よ?
何故か帰宅して一切何の反応もしないパク家の人間。
彼らが帰ってきたとき、キム一家は何を飲み食いしていたかはぼんやりとして覚えて居ないのですが、お酒はがっつり飲んでいました。多分ピザとかもあったはず。
なのに何故かこういった臭いには一切反応をしないパク家の人間。
貧乏の匂いよりもこっちの臭いの方が普通気がつかねぇか?
それに、ヨンギョだって結構がぶがぶ飲んでましたよ?お酒。なのに奥さん、あなた全く気が付かないのかね?君の鼻はどうなっとんのじゃ???
そこでぽかーんとなりつつ見て居たら、突然ドンイクが「ギテク氏の匂いがする」とキム家の匂いに気が付きます。確か。
部屋中に充満しているはずの酒とジャンクフードの臭いには気が付かないのに、そこは気付くのかよ??お前の鼻何かのセンサーか???
この家、換気システムがスゴイ家なのかと思ったら貧乏は対象外のようです。
超至近距離に臭いがもの凄くしそうなゴミ山があるのに、それには一切気が付かず貧乏の匂いに目敏く気付くプチホラー。普通逆じゃね?
この部分が気になったらどうしても気になって仕方がありません。話は確かに面白いし、考えさせられる部分は多いので素晴らしい映画であることは間違い無いのですが、何がどうしてこうなった。
その後無事屋敷から脱出できたキム家ですが、我が家に戻ると降り続く大雨のせいで下水から水が溢れ、お家なくなってました。
汚水にどっぷり浸かりながら何とか避難したキム家の人間(−母親)。その後電話が入り、パク家の長男の誕生日会をしたいから休日出勤して欲しいとそれぞれが再びパク家に戻るのですが、下水の臭いって簡単に取れるんですか????
半地下の匂いに過敏に反応してたのに、下水の臭いはスルーなんですね。この一家。
何でこんなに臭いの強いものが身近にありまくるのに、やたらと貧乏だけ気付くんです?生物的な臭いはまるっきり無視なのか????
どうしても其処が気になって気になって仕方が無くて、そこツッコミポイント!!って思いながらも無事終了。
コレだけどうして???と書き散らかしましたが、パラサイトは決して嫌いな映画ではありません。普通に面白かったです。
展開はああ、こうなるんだろうなと予測ができるので驚いたりはしませんが、感情の見せ方はとてもぐっとくるものがあり、キャラクターに共感できるところも多いです。
ただ、どうしてもコレがポイントってなってるんだったら、そこの矛盾が気になって仕方無いんだ。
とはいえ、それに気付いたらこの話がクライマックスに行く前に終了してしまうので、気付かないと言う方が展開としてはスムーズですが。