作業しながら見るには、外国映画だと字幕を読んで手が止まってしまうので、最近は邦画ホラーにジャンルを切り替えました。
で、今回がっつり見てしまったのがこの映画。
血を吸う粘土ー!!
何も考えずに再生してみたら、予想以上に良い意味でぶっ刺さりました。が、違った意味でも精神的ダメージを喰らいました。
そんな血を吸う粘土の話です。
血を吸う粘土ってどんな映画?
血を吸う粘土は2017年に公開された邦画ホラーです。
ジャンルはグロスプラッタ。
タイトル | 血を吸う粘土(VAMPIRE CLAY) |
制作年 | 2017年 |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 81分 |
ジャンル | グロスプラッターホラー |
監督 | 梅沢壮一 |
監督は、ドラマの特殊メイクをされている梅沢壮一さんという方で、初めての長編映画なのだそうです。
梅沢さんは、妖怪人間ベムや地獄先生ぬ〜べ〜のドラマで特殊メイクを担当されている方なんだとか。へぇ!だから特殊メイクがすごかったのか!
ストーリーをザックリ説明すると、
廃墟となった小屋のとこから発掘した土で胸像を作ったら、何か粘土が覚醒した!
そんな粘土が次々に人を襲って喰っていくんだけど、粘土地味に強えぇぇっっ!!
どうすれば粘土から逃げられるんだ!? 壊すだけじゃ駄目なんですかー!!?
と言う感じ。
それでは、ネタバレにならないように気をつけながら、もう少し詳しく内容を。
舞台は田舎の美術専門予備校。
血を吸う粘土の舞台は、とある田舎の山奥にある、美術専門予備校のアイナアカデミー。
アイナアカデミーには経営者の藍那ゆりと、この予備校に通う生徒の日高香織、望月愛子、谷レイナ、青木由香、山下寛治という5人の生徒がいる。
主人公の香織は東京の予備校から転入してきたのだが、彼女と他の生徒の実力には大きな差があった。
それを快く思わない他の生徒達は、予備校の環境や講師であるゆりに対して不満を持ち始める。
問題の粘土はゆりが発掘してきたモノ。
ある日、ゆりは粘土用に使用する土を採取している途中で、廃墟になった小屋と、その近くにあったビニールに入った土を見つけてしまう。
そんなことを思っても、もう遅い。というか、ソレだと話が進まない。
そうやって回収されたビニールの中の土は、倉庫のバケツの裏側に無造作に保管。そして、この土が、問題の覚醒して人を食べまくる粘土クリーチャー=カカメへと変貌していくのだった。
粘土を復活させたのは主人公の香織。それは、レイナの小さな嫉妬が切っ掛けだった。
その日の課題は胸像を作ること。5人の生徒は、それぞれ自分の粘土で胸像を作っていく。
しかし、香織だけは胸像を作ることが出来なかった。何故なら、彼女の粘土が何処にも見当たらない。理由はレイナが、粘土が無いという由香に、香織の粘土を使う事を提案したからだ。
粘土が無い以上、作品を作ることは出来ない。困っていた香織はそこで、カカメの素であるビニール袋の土を発見してしまう。
そりゃあそうだろうよ。だが、そこで粘土を復活させて貰わないと、話はここで終わり、The ENDというテロップが出て全てが片付いてしまう。そうは問屋が卸さない。
香織はその土を材料に新しく粘土を作り直し、それを使って課題である胸像を作ることにした。
この粘土おかしい!? それに気付いたのはカッターナイフの刃と人の血液。
胸像はどんどん仕上がっていく。そんなある日。いつものように胸像作りに勤しむ香織は、カッターナイフの刃で指を怪我してしまう。
そう思っても、犯人は一人しか思いつかない(でも、それは勘違いでホントはカカメが食った)。それよりもここで気になる事は
という一点のみ。そうなのだ。既に復活し始めている粘土クリーチャーカカメが、流れ出て粘土に付いた香織の血を、コレは又美味であるぞとばかり味わっているのである。
そうやって不可解な謎の解明は出来ぬまま完成される胸像。
そして……事件が起こる。
ついに胸像は完成する。
香織の作った胸像はゆりの評価が著しく高く、それと反比例するように他のメンバーは作品のダメ出しを喰らってしまう。
それを快く思えるはずも無く、モヤモヤを抱えたメンバーの感情が爆発!
ゆりの感情も沸点を超え、場の空気は最悪に。
このままではいけないと解散になったは良いが、一人残って作業をしていたレイナは、徐々に冷静になる頭で考えていた。
気持ちを切り替え頑張ろうとしていた矢先……レイナの側にカカメの魔の口が迫っていたのだった!?
ここから先はネタバレ要素を含むかもしれない個人的な感想。
血を吸う粘土を見た感想ですが、まず、粘土。
何をやってもへこたれない粘土クリーチャー=カカメちゃん、ひたすら生物を食べるために突き進んできます。
その姿勢、一切ブレない!
とにかく、喰うためには叩かれようが刺されようが焼かれようがめげない、諦めない、頑張る!
で、粘土だから叩こうが刺そうが大したダメージにならない。そしてモリモリ喰われていく被害者達。
必死に抵抗したってそこは本体が粘土。もうさぁ、こう、手応えの無い相手に対して全く通らない攻撃に、こんなに絶望を覚えることって有るんだろうか?ってくらい逃げ場が無い訳ですよ。
そうやってカカメの栄養になった被害者たちは、次々姿を盗まれてカカメの為の着ぐるみになっていくわけですが、そんな被害者達(着ぐるみ)に攻撃が当たると、うわっ!これ人間じゃ無かったー!!って感じの中身が。
この辺りの特殊メイクが地味にスゴイかっこいいのですよ!ああ。中身が生物じゃ無い……っていうこの感じ、分かる?それがスゴイ堪らない訳です。
そんなカカメちゃんの見た目は実はかなり地味な顔。
だけどソレがまた恐い。……ちょっとだけ、伊藤潤二さんのマンガに出てくるキャラで居たよね?こう言うヤツって思ったんだけど、なんだっけ?あれ……。
カカメちゃんは餌が生ものなら特に好き嫌いは無い様子。ネズミだって人間だって、分け隔て無くムシャムシャパクパク。食べられてる方は窒息するって!!どうやって消化してるんだろうとか考えるのは野暮ですかね。
そんな感じの人間(食べるの)が好きで好きで堪らないカカメちゃん。実は生みの親の伏見恭三がたっぷり込めた恨みを一杯持ってます。人が憎い……この恨み、晴らさで置くべきか的に動いています。
その切っ掛けを作ったのが、全ての元凶である三田塚実っていうおじさん。
一番後悔してるのはこの人でしょう。ちゃんと責任を取るべく奮闘したけど、結局カカメちゃんに美味しく頂きますされてしまう訳ですが、そこは自業自得というモノだ。
でも、この映画。内容も特殊メイクも、カカメの顔も面白かったんだけど、一番グサッときたのはこの部分。
そうです。舞台が美術予備校で、しかも東京に劣等感持ちまくってる上に落ちこぼれ(と思っている)の田舎の視点なので、逐一
や
とか。こういう妬み嫉み僻みがそこかしこに散りばめられてるんですよ。
そういうのがね、分かりすぎて辛い。
誰だって劣等感って有るじゃ無いですか。自分で気にしないと思っていても、やっぱり他人からの評価が気になるって事多いじゃ無いですか。
認めてもらえない悲しさ、努力しても実らない焦り、夢を諦めたくない気持ちや現実を見なければいけないと思う寂しさ。そういうのが割とストレートにズガンッて来ます。
狡いよねー、こう言う話。
なので、ホント何も考えずに見ていたら、予想外のところでボディーブロー喰らってあいたたたっ!ってなったわけです。
でも、この映画、色んな意味で面白かった!
続編が出たらしいので、是非見たいです。カカメちゃんの顔をずっと見てると不思議な魅力に取り憑かれるし。いつ見れるのかな?かな?