へぇ、そうか。沖縄にも万年筆専門店ってあるんだね。渡口万年筆店に行ってきたよ〜

沖縄にだって万年筆の専門店はあるんだ。渡口万年筆店に行ってきた。

突然ですが!万年筆が欲しいのです!

と言うわけで、突然湧いて出た物欲が頭の半分以上を支配してしまった結果、万年筆を買うぞ!という気持ちが昂ぶり財布の紐が緩みました。

とは言え、自分、万年筆はぺーぺーの初心者。

どんな万年筆が良いのか右も左も分かりません。

それ以前に、どこで買えば良いのか分からない(昔はたくさんあった文具を取り扱っているお店が少なくなってしまったからだよ)ので、どこで買おうかなと調べてみたところ……

 
沖縄にも専門店ってあるんだ!

と言うことに気付きました。

と言うわけで、渡口万年筆店にお邪魔してみましたよという話。

スポンサーリンク

渡口万年筆店って?どこにあるんだろう……

で、渡口万年筆店なのですが、こちらのお店は那覇市久茂地にあります。

場所は美栄橋駅から58号線向けに歩いて行くと、久茂地郵便局の角を左折して2ブロック先。1階がローソンになっている【渡口万年ビル】の2階にあります!

外観

外観

外観

目印は「渡口万年ビル」という大きな文字と、ビルの入り口にある青い看板!

ただ……このビル。とてもとても足を踏み入れにくい。

渡口万年ビル

お分かりいただけるだろうか。何か、カジュアルでお安い万年筆は置いてないんじゃ無いかというくらいの雰囲気が漂っているのが……。

そうです。見るからに老舗だろ!?というこの風貌に、一瞬入るのを躊躇い、思わず1階のローソンでお財布にお札を補充しましたよ。

ちょっとデパートの文具売り場で妥協すれば良かったかなと思ったくらいには、入るのに覚悟が必要な感じのこの雰囲気。それに臆せずビルの中へと足を踏み入れると、目の前にテナント案内の看板とエレベーター、左側に急角度の階段があります。

まだ足が動く内は取りあえず階段派!なので、楽をしたい気持ちをぐっと堪えて階段を上ると……

突き当たりがお店

突き当たりにお店がありました!

あぁ……これ、ゾンビとかが襲ってきたらどう逃げればとか考えるくらいのなにか……。

財布の中身に余裕がある状態だったら、

 
わぁ!この雰囲気、レトロな感じがあって楽しいな〜!

と思えたのですが、お財布に余裕が無い状態でお邪魔してるので、

 
入ったら出られない空気が漂っている危険フラグ……

と思ってしまったのはここだけの話。

スポンサーリンク

扉を開けるとそこは…………なんだか懐かしい感じの部屋だった!

店内

とは言え、万年筆の話を聞きたくてお店に来たわけですから、

 
あ。無理。

と回れ右して帰宅するという訳にもいかないわけで。勇気を出してお店の扉を開けると…………

作業中の男性が背中を向けて座っていました。とりあえず声をかけてみると、

「あれ?初めてだっけ?」

と驚いた顔をしながら声をかけてくれたのが、戸口店長でした。

 
はい。初めてです
 
そうねぇ。はい、じゃあ、ここに座りなさい。

促されるまま椅子に座ると、早速、「今使っている万年筆はあるの?」と質問されます。

「初心者で、どう言ったものが良いのかが分からなくて……」と答えると、万年筆とはというトコロからお話を聞くことが出来ました。

 
今はボールペンの時代になっているから、万年筆を使う人は減ってしまったけれどもね……

ボールペンとは色々違う!?魅力がいっぱいの万年筆ってどんなペン???

 
ボールペンは誰が使っても変わらないでしょ?でも、万年筆はそうじゃ無くて、使えば使うほど、その人に馴染んでいくペンなんだよ。

そう言って紙の上にペン先を滑らせる渡口店長は、とても楽しそうに色々説明してくれましたが、イマイチよく分からないと微妙な反応をしてしまう自分。

その後、陳列棚の中から何本か見繕って、色々試し書きをさせてもらいました。試し書きをさせていただいたペンはこんな感じ。

プロシオン(プラチナ)

キュリダス(プラチナ)

プロフェッショナルギアスリム金 万年筆(セーラー)

プロフィットスタンダード21万年筆(セーラー)

描かせていただいた時の感触は、プラチナの方が堅く角度に融通が利かないという印象。セーラーはするする書けるなという感じでした。

書いている途中、ペン先の角度が違うとお叱りを受けるくらい、初心者の自分にはまだまだ手に馴染まない万年筆というペン。

ただ、万年筆は、力を入れずに線を引くことが出来る(ペンの構造で、インクが滑るように出てくるようになっているらしい)んだそうです。

万年筆の仕組み ~インクをスムーズに送り出す内部の秘密~ | 趣味文CLUB

万年筆は約200年前にこの世に登場した。その後、試行錯誤が繰り返され、約130年前に毛細管現象を活用した基本構造が確立され、進化しながら現在に至っている。万年筆のペン先の構造 「インク

溝をインクが流れるようにして通る事でインクが紙に乗るのが万年筆で、ボールを回転させることでインクを紙に移していくのがボールペンと言うことだろうか。

ボールペンの基礎 | 趣味文CLUB

1943年ハンガリー人によって考案されたボールペンは、実用重視の現場で出番が多い筆記具。ペン先のボールが回転してインクを紙上に転写する構造で、紙質を選ばないのが特長。線幅や濃淡がほぼ一定、書きグセに関

ボールペンしか使ったことの無い自分は、ボールが回るようにペンを立てて書く癖があるようで、何度教えられてもなかなか矯正出来ません。若干スパルタだったよ……とほほ……。

万年筆は万年使えるだけじゃなく、万年字が残るから万年筆なんだって。

渡口店長に色々教えて貰った万年筆の話の中で、面白いなと思ったのはこの話です。

 
ボールペンと違って、万年筆は書いた文字がずーっと残るんだよ。それこそ、千年、万年も……

どう言うことなのかと首を捻ると、ボールペンと万年筆のインクの質の違いだよと渡口店長。

万年筆で使用するインクは、基本的には大部分が水で、それに染料と機能付与剤を混ぜ混ぜして作られているんだとか。

一方ボールペンはと言うと、油性インク染料+溶剤+樹脂が一般的らしい。で、この油性インクってヤツが、時間が経つと劣化していくって事なんですかね?

ふむー……イマイチワカラン。

ただ、

 
水溶性のインクは、水が蒸発したら染料が浸透して、そこにずっとあり続けるでしょ?水以外の物が無いから成分が変わらないし、水をかけないかぎり消えないんだよ。

という言葉を聞いたとき、成る程!と思いました。何となく分かった気がするだけなのかも知れないけど。

スポンサーリンク

渡口万年筆店の歴史は古く……

さて。そんな素敵な渡口万年筆店さんですが、創業は1932年。

1932年ってことは……えーっと…………2020年現在だと88年?うはー!!長い!

戦前からあるお店らしい。もともとは嘉手納に本店があり、那覇と名護に支店があってという感じで、県内に3店舗あったんだとか。

現在は久茂地の店舗のみですが、本社は元々嘉手納にあったんだね。

 
昔は万年筆と言えば渡口万年筆って直ぐ分かりよったよ〜。広告見たらああ、あそこねーってよく言いよったさぁ。

自分はその広告を見た事があるのか無いのか覚えてないのですが、そんな感じで昔の話を聞かせてくれる渡口店長はどこか嬉しそうで、でも寂しそうで。

渡口万年筆店さんのあるビルにもいろいろ歴史があるんだろうけど、お店自体にも色々歴史があるんだなぁとしんみりしました。

スポンサーリンク

と言うわけで、今回お買い上げしたのはこの一本!

お店の歴史や万年筆の話、使い方など色々教えて貰った時間も、次のお客さんの予約が入った時点でお終い。

書き味で決めるか面白さで決めるかを悩んだ結果、自分が選んだ万年筆はこれです!

プラチナのキュリダスに決めました!

 
この万年筆は変わっているからね。持ってたらみんなに驚かれるハズよ〜

と渡口店長。デザインが一風変わっているから面白いと思ったのもありますが、キャップが行方不明にならなくて良いなと思ったのも、キュリダスに決めた理由です。

購入する万年筆が決まったら、「こっちへおいで」と手招きされた先にあったのは、年代物の…………彫刻機??

渡口店長

 
万年筆を買ってくれた人に名前を彫ってあげるんだよ。だぁ。名前は何て言うの?

と名前を聞かれたので、「お店の名前をお願いします!」と答えると、

 
お店の名前で良いの?

と驚きながら、「偶にそういうお客さんもいるよ〜」とお店の名前を彫刻してくれました。

万年筆を買って文字を書くのが楽しくなった!渡口万年筆店さんに行って良かったと思う!

今回、万年筆で絵を描けたら楽しいかなという理由だけで専門店の扉を叩いてみましたが、思った以上に奥の深い万年筆の世界。

初心者の自分はただ、ただ圧倒されました。

で、万年筆ですが、現在は絵を描くために使うのよりも、字を書くために使いたい欲が高まっています!

万年筆を持つと文字を綺麗に書きたくなるから不思議だね〜。

取りあえず、今度インクを変えられるようにコンバーターを買ってこよう!インク沼には嵌まらぬぞ!!!

スポンサーリンク