誤字・脱字はない方が良いのは当たり前です。ただ、どうしても潰しきれない部分もあって頭を抱えてしまう。そんなことも結構多かったりもします。
自分がまさにそのタイプなのでお耳が痛い話だと思いながらやりとりを眺めていたのですが、今回話題に上がっている件の自分用メモとして。
元々は、誤字よりも誤用の方がメインで出されたマシュマロだった気がするんだがー。
現在TLで色んな人が話題にしている、同人誌での誤字・脱字の件ですが、元々は言葉の表現の誤認識に対してのアドバイスに重点が置かれていたものでした。
南想@PdQXy6w7KgAyXSH何度かこうした言葉をいただき、恥ずかしながら、公開して返信させていただきます。#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/Vy3fGhFv3R2020/05/24 13:15:36
確認してみると「本の校正は誤字、脱字に留まらず、作家の基本である正しい言葉の使用がなされているかにも及んでほしい」とは書かれていますが、誤字・脱字がありますとは書かれていないんですよね。
なので、盛り上がり方の趣旨がズレてる気がするんですよ。
とは言え、気になる単語が引っかかってしまうと、解釈が変わってくるのは仕方が無い事なのかなとも思ったりします。
それが色んな人の目に触れるほど、話の本筋がどんどん変わってしまう伝言ゲームみたいな状態になってるんだなぁと思ってしまいます。
根本的な誤用・誤認識が多数ある。と言われても、一応シーンは伝わってるんじゃなかろうか。
もちろん、間違った日本語の使用を推奨するというわけでは無いです。とは言え、言葉の認識は、使う地域・時代・状況に応じてどんどん変化しているものだとは思います。
最近テレビ番組などでも「間違った日本語」や「正しい意味・使い方」を取り上げられて、「そう言う意味だったのか!」「こう使うんだ、知らなかった」となることは多々ありますが、だからといって本来の日本語(古語)を正しく使えるよって人は殆どいないですよね。
時代を遡りすぎると、言葉のルーツを辿るためには方言に行き着いてしまう。でも、方言って全国共通じゃ無いから、分かる人じゃないと理解出来ない。そんなもんだと思います。
まぁ、ここまでいくと極端すぎる話になってしまうのですが。とは言え共通認識が多い解釈の方が、圧倒的に状況は伝わりやすいとは思うんですよ。
なので、例に挙げられていた「眉をひそめる」という表現を使って状況を説明する場合、それを表情の表面部分として相手に認識させるか、キャラクターの感情的な内面として認識させるかで言葉の解釈が変わってくると思うんです。
お話を書かれている方は、行動としてキャラクターを動かす描写でこの表現を使ったのだと感じましたが、アドバイスをしている方はキャラクターの内面描写と併せての行動として言葉を受け取ってしまったのかなと。そのため、言葉の認識にずれが出てしまったのかなと感じました。
表情が動くという意味では、どちらの解釈でもシーンは伝わりはします。
ただ、本来の意味で言葉を認識して状況を思い浮かべる人よりも、表面的な行動描写として言葉を受け取る人が、もしかしたら圧倒的に多いのかもしれません。
そう考えると、本来の意味からズレてしまっていても、内容的にはシーンが全然伝わっていないわけでは無いんですよね。
「その価値に見合った代金を貰い人の手に渡るもの」っていう言い方がひっかかる。
この言い方、ちょっと狡いなぁって思いました。
制作物の価値は確かに、制作者の意見だけで決まるものでは無いですが、だからといって全ての条件を満たさなければそれを欲しいと言ってくれる人がゼロになるわけでは無いです。
本来の言葉の意味を理解して制作して欲しいというのは、アドバイスした側の価値観であって、制作者さんの作られた作品を欲しいと言ってくれている人全員がそう思っているわけでは無いんですよね。
と言うことは、全く伝わらない意味不明なお話ではないと言うことになるので、欲しいと思っている人にとっては価値に見合った代金をお渡ししたい作品ってことになります。
そう考えると、この言い方は別の意味にも見えるなぁと感じるし、気になってモヤッとするなら買わないという選択肢を選ぶことも出来るのになって思ってしまいます。
ところで……誤字・脱字。これってあったら売り物として価値がないの?
話は脱線しますが、誤字/脱字があったら商品としての価値があるかないかは、正直微妙だと思います。
もちろん、誤字/脱字/誤用/誤認識は無い方が良いことは間違いありません。
それでも、商業用の商品でこれらが全く無いかと言われると、残念なことにそういう商品も普通に売られています。完全にそう言うモノをなくそうと頑張っても、そうなってしまう時はそれが商品になってしまうからです。(一応、問題にはなるし、最悪賠償責任事項にはなるため、本来は誤字/脱字はあったらNGです)
何重チェックしてもそうなる場合もあるので、一個人で全ての工程をこなす同人誌となると、どうしても読めない/支離滅裂な内容でない限りニュアンスで内容を把握することも大事だよなと思うんです。
作品を作る側は、誤字/脱字には気をつけて作業をしているはずです。それでもミスが起こるときは起こるんです。
打った文字が全て誤字だったら指摘されても仕方ないけれど、一部だけ間違ってるとかなら、そっとスルーして読み進める寛容さって大事なんじゃないかなぁって思ったり。
でも、やっぱり誤字・脱字はなくしたい!じゃあ、どうすれば……
因みに、商品になる前の印刷物は、制作の過程で校正という作業が入ります。プロの校正スタッフが原稿や文章を一つ一つ見て確認するという作業ですね。
これを、何回も繰り返して校了になったモノが印刷されて納品されるのですが、この時間は一日二日で終わるものではありません。
状況によっては、何人もの校正スタッフが一つの商品を何重もチェックし、その上クライアントさんにもチェックして貰って漸く校了が出るという事もあります。
つまり、一つの印刷物に沢山の人が関わっているから、誤字/脱字や誤用/誤認識を限りなく少なくすることが出来ているわけです。
で同人の話ですが、一個人の同人誌に、商業レベルの校正をしてくださいと言っても難しいんじゃないかなぁと。友達がチェックするよと言ってくれるならミスを減らせる可能性は高くなりますが、ダブルチェックでも校正ミスが発生する可能性を、完全にはゼロすることは出来ません。
何故かというと、文章は前後の文字を読んで内容が理解出来れば、真ん中を読み飛ばしても文章として認識できてしまうからです。
つまり、打ち込まれたテキストを頭から追っている途中でタイプミスの誤変換があったとしても、前後の文章が間違っていなければ、その部分は間違いとして認識されず見落としてしまう場合があるという事。
そういうわけで、ダブルチェックでも校正漏れが出てしまい、印刷物が仕上がった後にミスが発覚すると言うことが起きてしまうわけです。
誤字・脱字チェックだけでもこれだけ大変なのですから、誤用や誤認識には一人では中々気付けないと思います。(思い込みがあるから間違えている事に気付けないし)
とは言え、誤用/誤認識は一人では改善が難しくても、誤字・脱字に気付きやすくなる方法はあります。
ソフトのチェック機能を使って校正する。
Wordや一太郎には文章の構成機能があるので、それを使ってチェックするのが作業効率は良いです。ただ、寝惚けた頭でそれをやると、予想外のところが修正されてしまう事もあるかも。
時間を置いて読み返す。
打ち込んだテキストをそのまま使うのではなく、一度休憩を挟んだり日を置いた後でもう一度読み直してみると、間違いに気が付くこともあります。
この場合、作業PCでのモニタ確認だと間違いが見つけにくいこともあるので、チェックはスマフォで、作業はPCでなど分けて作業すると間違いを見つけやすいです。
間違いは見つけやすいですが、作業時に修正箇所が見つけにくいというデメリットもありますが。
紙に印刷して確認する。
プリンターなどで実際に印刷して確認することでも、誤字/脱字は探しやすくなります。この方法で確認する人は結構居るんじゃないかなと思うんだけどどうなんだろう?
ただこの方法で作業する場合印刷したものをそのまま読むよりは、文章を後ろから読む方法で確認した方が良いです。
理由は先程書いた通り、前後の文字を読んで文章を認識してしまうと、間違った箇所を読み飛ばしてしまうからで、それを防ぐ為には、文章を読んでしまわないように後ろから言葉を見ていくというわけです。
実際、書いた通りに文章を読むときと後ろから文章を遡るときとでは、誤字/脱字の発見量は全然違います。頭から文章をよむと長い文節になるところも、後ろから文章を読むことで、小さな単語の区切りとしてしか認識しなくなるからかなと思うのですが。
後は、間違った箇所にマーカーや赤ペンでチェックを入れていけば、一人でもある程度は文章校正が出来るんです。
確認用にプリントアウトする場合、入稿するときのフォーマットで印刷しておけば、修正箇所は印刷した紙と同じ場所に文字があるので修正箇所も見つけやすいです。
でも、結局校正ミスは出るときは出るから。
同人誌だからその辺は多めにみるべきだ!と思ってしまうのはダメだろうなと思いますが、個人で作業をする以上、出来る事には限界があるんじゃないかなと。
アドバイスは信頼関係が築けた後でや、欲しいと言ってる人に向けて行うのがトラブルなく楽しめるよなぁって。
話題のマシュマロは本当に親切心から出したアドバイスだったのかもしれないですが、素直に受け止めるには違和感のある書き方に見えてしまう気がする感じはしました。