よーし!同人誌を作るぞー!と頑張って描いた原稿。さて、じゃあ印刷お願いするかなとなったとき、
となった経験ありませんか?
本日は、そんなオフセット印刷とオンデマンド印刷の話でも。
今は、クオリティの高い同人誌が比較的安く作れるようになったよなぁ……
初心者の時にそう思って調べてみるということは、同人を始めようとしている人なら、一度は経験があると思います。
興味があって調べている方にとって、改めて説明はする必要は無い気もしますが、本を作る方法としてよく紹介されているのがこの2通りではないでしょうか。
- 自力でなんとかする。
- 印刷所にお願いする。
自力でなんとかするは、自家製本ってやつで、家庭用プリンターやコンビニコピーなどを使って原稿を印刷し、一冊ずつ手作業で製本して作っていく方法です。
この方法に対して印刷所にお願いするやり方は、言葉の通り、原稿を印刷所に送って印刷から製本まで全部やってもらい納品してもらう方法になります。
それぞれのメリット・デメリットはさておき、印刷所にお願いした際、印刷方法で多く紹介されているのが、この二つです。
- オフセット印刷
- オンデマンド印刷
この2つのうちのオンデマンド印刷が気軽に利用出来るようになってから、同人誌は少部数でお安く作れるようになった訳なんですが、一体この二つの印刷は何が違うのかというと、ざっくりまとめるとこんな感じになります。
オフセット印刷って何?
ほいではまず、オフセット印刷のことから。
オフセット印刷というのは、枚葉機や輪転機という印刷機械で印刷する方法になります。
この印刷機は、版という板をセットして水とインクを印刷の機械に塗り、ゴウンゴウンと機械を回して紙に原稿を転写していく印刷で、仕上がりがとても綺麗なことが特徴です。
オフセット印刷を利用する際、同人誌を沢山(100部以上)作る場合は一冊辺りの単価を下げることが出来ますが、少部数(10冊〜50冊など、部数があんまり要らないよ)でいいよという場合は、コストが高くなってしまうというデメリットがあります。
何故かというと、版を作成するコストが発生するからです。
そもそも版って何なんですか?
では、さっきから言う版とはどういうったモノの事なのでしょうか?
版というのは、版画で言う原板にあたるモノのことです。
印刷所で使用している印刷機は、この版がないと印刷物を作成することが出来ません。なので、印刷するために版というモノを作って、それを印刷機にセットする必要があるんです。
で、版は基本的に、1色につき1版作成されます。フルカラーなら、シアン(青っぽい色)、マゼンタ(濃いピンクっぽい色)、イエロー(黄色)、ブラック(墨)の最低4種類は用意しないといけなくなってしまうんです。
つまり、1枚のフルカラーイラストを印刷するために、4種類の色の印刷原版が必要って事ですね。黒1色や特色インクで1色で印刷の時は1版だけでOKですぞ。
そして、この版を作成するためには、コストと時間がかかります。なので、本を一冊だけ作りたいんだけど……という場合だと、この版を作成するコストの方が高くなってしまい、一冊当たりの単価が高くなってしまうんです。
じゃあ、何で沢山作るとコストが安くなるって言われてるの?
ほいじゃ何故オフセットが大量生産に向くのかというと、そこにはこいうカラクリがあるんです。
オフセットで印刷する場合、一枚の版で沢山のページを、一気に印刷することが出来るんです。
例えば、コピーをした時、仕上がりサイズと原稿サイズによって、一度に印刷出来るページ数が変わってきますよね?どういうことかと言うと……
A5サイズの原稿をA4サイズで印刷した場合、コピーされた紙には2ページ分印刷されています。
と言う風に。
このように、原稿サイズと仕上がりの紙のサイズで、一度に印刷出来るページ数は変わってくるのですが、コピー機の場合は、普通に使えるサイズの最大がA3までとなっています。
これを印刷機械で行う場合はというと、1版で8ページ〜16ページ分(場合によってはもっと)くらいを、一枚の版に配置します。それを、A3よりも大きな紙に一気に印刷していくことが可能なので、同じ版下でたくさんのページを印刷する事が出来るんです。なので、沢山の部数を作る場合は、一度に沢山印刷出来るオフセットの方がコストはぐんっと安くなるというわけなのです。
また、版は一度作ってしまえば、その版が壊れてしまわない限り、何度でも使うことができます。同じ印刷を何回も繰り返す事にとても向いているので、クオリティを下げること無く、同じ印刷が何回も出来てしまうと言うことなんですね。
オフセットのイマイチな所ってどこ?
オフセットの印刷でイマイチな所はなんと言ってもコスト高っ!って事ですよね。
あとは、こんなに部数イラネというところかと。
また、インクが乾く時間が必要になるので、納期の設定が長く設けられている場合が殆どです。
それ以外だと、一度版を作ってしまうと修正が効かないため、失敗すると作り直しになってしまいます。なので、失敗時の廃棄や損害が結構大きいと言うところかなと思います。
オンデマンド印刷って何?
では、次にオンデマンド印刷の方を。
オンデマンド印刷とは、高性能のレーザープリンターを使用して印刷をしていく方法です。
オフセットと違い、オンデマンドで使用する印刷機は、レーザープリンターです。オフセットとの一番大きな違いはというと、オンデマンドの場合、版を作成しなくても印刷が出来るというところ。
版を作成しないので、データを取り込んだらすぐに印刷物を確認することが出来ますし、仕上がりが非常にスピーディーなのが特徴です。
版を作成しないってどういうこと?
先ほど、オンデマンド印刷では、版を作成しないと言いましたが、これはコピー機や家庭用プリンターで印刷するときのことを思い出してもらえればわかりやすいと思います。
コピー機や家庭用のプリンターは、コピーボタンを押したり、パソコンから印刷したりすると、特に何もしなくても、紙に印刷してくれますよね?
その際、版画の板のような部品を、プリントアウトしたいと思っている人がわざわざ作るなんてことはしないと思いますし、したことは無いはず。
オンデマンド印刷はこれと全く同じで、データをプリントアウトすれば、パパッと機械がページを印刷してくれるという方法なんです。
なので、オフセットで必要だった4つの版が無くても、フルカラーのイラストなどを手軽に印刷出来るんです!
また、オフセットの場合、印刷機と版とインクと水を使って紙に画像を転写していくのですが、オンデマンドだと直接紙にトナーを焼き付けて印刷していくので、印刷機と紙、トナーさえあれば印刷出来てしまうんです。
じゃあ、オンデマンドだと何がイマイチなの?
そんな風に思ったりしていませんか?
確かに、オンデマンドはオフセットよりも価格が安く設定されていることが殆どです。それは、前述したとおり、版の作成コストが無いことや、印刷機を回すという手間暇が削減出来ることなどがあるのですが、そんな万能なオンデマンド印刷にも、ちゃんとデメリットはあります。
それは……
大量に作成する場合、コストが高くなってしまう!
ということ。
オンデマンド機械は、先ほど言ったとおり、高性能レーザープリンターなんですね。
大量に印刷する場合は、一気に枚数を指定する必要があるので、一度印刷が終わった後に追加印刷する必要があったりすると、印刷する度に設定をしなければいけません。
また、紙のサイズも大型の輪転機に比べると、機械に通せるサイズが小さくなります。そのため、印刷したいサイズが大きくなってしまうと、一度に作成できるページ数が減ってしまうんです。
二つ目のデメリットは、オンデマンド印刷には苦手な分野があるということです。
オンデマンド印刷が苦手としている印刷は以下の通りです。
- 広い範囲にベタがあると、テカリや色むらが出てしまう。
- 色調が淡いものやグラデーションの再現率はあんまり良くない。
- 細い字や細い罫線、小さな文字などの印刷はちょっと苦手。
- 両面印刷だと印刷位置がずれやすいし、ぴったりにするのは苦手。
両面印刷は致し方ないとして、原稿にベタが多い、色調が淡いのを得意としている、グラデーションを良く使用する、小さい文字が多い、細い線が多いなどの原稿は、どうしてもオフセットに比べるとイマイチな仕上がりなるんですね。
どちらの印刷も一長一短。自分の都合に合わせて選ぶのがベスト!
と、まぁ、かなりざっくりとオフセットとオンデマンドの話をしてみたのですが、どちらの印刷方法も良いところ・悪いところがあるのは当たり前の話です。
綺麗な仕上がりを求めたいのならば、お金と時間をかけてオフセット印刷で作成した方が良いですし、部数を多く作りたくない・急ぎで作って欲しい場合は、クオリティが少し下がってしまう事に納得した上でオンデマンド印刷を選択するしか無いと思います。
ちなみに、オフセット印刷とオンデマンド印刷の他にも、デジタルオフセットという印刷方法もあります。
この方法は、オンデマンドと同く版を必要としませんが、粉トナーではなく、液体トナーを転写する方法なので、仕上がりはオフセットに近いというもの。特殊印刷にも対応しているので、ちょっと変わった印刷ができるようです。
が。
やっぱりオフセットが一番綺麗デス。この辺りは機械の精度によるのかなとは思うけれども。
デジタルオフセットは版ずれが起きやすい……のか。結構微妙だなぁ……
部数に関しては、オンデマンドと同じく、大部数には適さないようですよ。